『幸せになる勇気』岸見一郎・古賀史健|『嫌われる勇気』のその先へ――読んだら「愛し方」が変わった話

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「『嫌われる勇気』を読んで感動した。でも、現実ではうまくいかない…」

「課題の分離はわかった。でも、じゃあ具体的にどう人を愛せばいいの?」

そんなモヤモヤを抱えている方、多いのではないでしょうか。

わたしもまさにそうでした。『嫌われる勇気』を読んだときは、「課題の分離」や「目的論」といったアドラー心理学の考え方に衰撃を受け、人間関係が明らかにラクになりました。でも同時に、「これだけでは足りない」という感覚もあったんです。

課題の分離で他人との距離は取れた。でも、その先にあるはずの「つながり」や「愛」については、まだ腕の中だった。

そんなときに手に取ったのが、続編である『幸せになる勇気 ―自己啓発の源流「アドラー」の教えII』です。

前作『嫌われる勇気』が世界累計1,800万部を突破したモンスターベストセラーであることは、多くの方がご存じでしょう。

本書はその「完結編」と位置づけられており、前作でアドラーの教えを知った青年が、「実践してみたら全然うまくいかなかった!」と哲人のもとに怪しこむところから始まります。

結論から言うと、この本は『嫌われる勇気』で「嫌われることを恐れない」と決意したわたしに、「じゃあ、その勇気をどこに向けるのか」を教えてくれた一冊でした。その答えは、「愛」です。

この記事では、『幸せになる勇気』を実際に読んで感じた体験ベースのレビューをお届けします。「買おうか迷っている」という方の判断材料になればうれしいです。

書籍情報

書名:『幸せになる勇気 ―自己啓発の源流「アドラー」の教えII』

著者: 岸見一郎・古賀史健

出版社: ダイヤモンド社

価格:定価1,760円(税込)/ Kindle版・Audible版あり

Amazon評価:★4.5(7,394件超)

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『嫌われる勇気』だけでは足りない理由

『嫌われる勇気』を読んだあなたは、きっとこんな知識を手に入れたはずです。

  • 「目的論」――過去ではなく「今の目的」が行動を決めている
  • 「課題の分離」――自分の課題と他者の課題を分ける
  • 「嫌われる勇気」――自由に生きるためには嫌われることを恐れない

どれも素晴らしい教えです。でも、こんな壁にぶつかりませんでしたか?

  • 課題の分離を意識したら、人間関係が「ドライ」になった
  • 他者の課題に踏み込まないようにしたら、「冷たい人」と思われた
  • 「嫌われてもいい」と思えるようになったが、その先の「幸せ」が見えない
  • 職場や家庭で「ほめても叱ってもいけない」って、じゃあどうすれば?

わたし自身、『嫌われる勇気』を読んだ後、課題の分離を意識しすぎて人との間に壁をつくりがちになりました。「それはあなたの課題だから」と線引きはできるのに、その後どう人とつながればいいのかがわからなかったんです。

「分離」のその先にあるもの

実は、本書の主人公である青年もまったく同じ壁にぶつかっています。

前作でアドラーの教えに感銘を受け、図書館司書を辞めて教師になった青年。3年間実践してみた結果、彼が哲人に叩きつけるのはこんな言葉です。

「アドラーを捨てるべきか否か」

・ほめても叱ってもいけないなら、教室でどうすればいいのか?

・課題の分離を彻底したら、生徒が勝手放題になった

・「嫌われてもいい」と思えるようになったけど、孤立した

これ、わたしたちの日常でも起きることですよね。課題の分離を「壁づくり」と勘違いしてしまう。「嫌われてもいい」が「人と関わらなくてもいい」にすり替わってしまう。

これが『嫌われる勇気』だけでは足りない理由です。「嫌われる勇気」はあくまで出発点であり、ゴールではない。その先にある「幸せになる勇気」こそが、本当に必要なものだったのです。

『幸せになる勇気』が教えてくれること

核心テーマ:人生の主語を「わたし」から「わたしたち」に変える

本書のクライマックスは、第五部「愛する人生を選べ」にあります。

アドラーは人生のタスク(課題)を「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」の3つに分けました。そして最も難しく、最も重要なのが「愛のタスク」だと言います。

本書の哲人はこう語ります。

「わたし」や「あなた」よりも上位のものとして、「わたしたち」を掛げる。人生の全ての選択について、その順序を貫く

「わたし」の幸せを優先させず、「あなた」の幸せだけに満足しない。「わたしたち」のふたりが幸せでなければ意味がない――。

この「人生の主語の転換」こそが、本書の核心です。

これを読んだとき、わたしは『嫌われる勇気』で感じていた「物足りなさ」の正体がわかりました。「わたし」を守るための勇気だけでは、幸せにはたどり着けない。「わたしたち」として生きる勇気――つまり「愛する勇気」が必要だったのです。

「愛」とは決断である

本書では、エーリッヒ・フロムの言葉が引用されています。

誰かを愛するということは、単なる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である

「運命の人」などいない。愛は降り注ぐものではなく、自らの意志で選び取るものだ、と哲人は語ります。

これは恋愛に限らず、あらゆる人間関係に通じる話です。家族を愛する、同僚を信頼する、友人と深くつながる――すべて「決断」を伴う行為なのです。

「ほめても叱ってもいけない」の真意

本書で特に衰撃を受けたのが、「賞罰の否定」です。

アドラーは「ほめてもいけないし、叱ってもいけない」と言います。一見、「じゃあどうすればいいの?」と思いますよね。

その答えが、「感謝」と「尊敬」です。

「えらいね」「すごいね」という「ほめ」の代わりに、「ありがとう」「助かったよ」という「感謝」を伝える。そして、相手を対等な人間として「尊敬」する。

「ほめ」は上から下への評価であり、「叱る」は強制である。どちらも「縦の関係」を前提としています。でもアドラーが目指すのは「横の関係」――対等で、互いに尊敬し合う関係です。

noteに投稿されているレビューで、子育て中の方が「偏いね、とか、いい子だね、は言いません。ありがとう、とか、ママ嬉しい、とかは、なるべく言うようにしています」と書いていました。これこそ、アドラーの教えの実践ですよね。

「すべての喜びは、対人関係の喜びである」

『嫌われる勇気』では「すべての悩みは対人関係の悩みである」と語られました。本書では、その裏側が明かされます。

「すべての喜びもまた、対人関係の喜びである」という幸福の定義が隠されているのです

悩みの源泉である他者から逃げたら、悩みは消える。でも、喜びも消える。人と関わるからこそ傷つくけれど、人と関わるからこそ幸せを感じられる。

これは、『嫌われる勇気』を読んで「人との距離の取り方」を学んだわたしにとって、欠けていたピースでした。距離を取るだけでは不十分で、その先に「つながり」を築く勇気が必要だったのです。

この本をおすすめする3つの理由

① 『嫌われる勇気』の「その先」が見える

『嫌われる勇気』が「他者から自由になるための本」だとすれば、本書は「自由になったその先で、どう幸せになるか」を示してくれます。

前作で「嫌われる勇気」を手に入れた人が、次に必要とするのが「幸せになる勇気」。この2冊はセットで読んで初めて完成する、とわたしは思います。

② 「愛」という人生最大のテーマに切り込んでいる

自己啓発書で「愛」にここまで正面から切り込んだ本は珍しいと思います。恋愛テクニックではなく、「愛とは何か」「なぜ愛する勇気が必要なのか」を哲学的に探求しています。

「愛とは、ふたりで成し遂げる課題である」――この一文に出会えただけでも、本書を読む価値があります。

③ 前作と同じ対話形式で「腸に落ちる」

ブックライブのレビューでも「青年と哲人の掛け合いが大好きです」という声がありました。前作と同様、哲人と青年の対話で物語が進みます。

青年は前作以上に怒り狂い、激しく反論します。それが読者であるわたしたちの代弁者になっているから、「そうそう、そこが知りたかったんだよ!」と膨を打ちながら読める。

そして296ページというボリュームは、前作と同じ。一晚の対話という設定も同じなので、前作を楽しめた方なら違和感なく読めます。

読んだらどう変わる?わたしが感じた3つの変化

変化① 「課題の分離」が「壁」ではなく「入り口」に変わった

前作を読んだあと、わたしは課題の分離を「自分を守るための壁」として使っていました。でも本書を読んでからは、それが「対等な関係を築くための入り口」だとわかりました。

まず課題を分離して、そのうえで「感謝」と「尊敬」を伝える。たったこれだけのことで、人間関係の質がまるで違ってきました。

変化② 「愛する」ことへの恐れが減った

「愛とは決断である」という言葉に触れてから、「愛されること」を待つのではなく、「愛すること」を自分から始める覚悟が持てるようになりました。

相手がどう出るかわからないから怖い。傷つくかもしれないから怖い。でも、それでも「愛すること」を選ぶ。それが「幸せになる勇気」なのだと、腐に落ちました。

変化③ 「いま、ここ」の意味が深まった

『嫌われる勇気』でも「いま、ここを真剣に生きる」と語られていましたが、本書ではそれがさらに深まります。

われわれにとっては、なんでもない日々が試練であり、「いま、ここ」の日常に、大きな決断を求められているのです

幸せは、特別な出来事の中にあるのではない。毎日の「なんでもない日常」の中で、誰を愛するか、どう人と向き合うかを選び続けること。それ自体が「幸せになる勇気」なのだと。

この視点を得てから、何気ない日常の一つひとつの選択が、とても大切なものに感じられるようになりました。

口コミ・評判まとめ

読書メーターでは15,273登録・3,254件のレビューが寄せられており、幅広い声が集まっています。代表的な口コミをご紹介します。

高評価の声

「国語の教科書に載せてほしいです。通勤、食事、空き時間、夜更かしをして読んでしまいました。図星で、核心をつかれた言葉に衰撃を受けますが、与えられるのを待つのではなく、自ら与えたいと思える本です」── ブックライブレビュー

「この本を一人でも多く読んで一人でも多くの人が実践することで、世界は確実に良い方向に進み、人生を悩み苦しむ人がいなくなると感じました」── ブックライブレビュー

「今までの色々な考え方を変えるきっかけになりました」── ブックライブレビュー

「何度読んでも発見が尽きない本です。きっと、経験を重ねるごとに響く言葉が違ってくる」── はてなブログレビュー

厳しめの声

一方で、『嫌われる勇気』と比較して「難しかった」「実践が難しい」という声もあります。わたし自身も、「愛のタスク」の話は一読してすぐに腐に落ちたわけではありません。

でもそれは当然のことかもしれません。本書自体が、「アドラー心理学を本当に理解し、実践するには生きてきた年数の半分が必要」と言っているくらいですから。「読んですぐ変われる」がゴールではなく、何度も読み返しながら少しずつ実践していく本なのだと思います。

こんな人にはおすすめしません

正直にお伝えします。

  • 『嫌われる勇気』をまだ読んでいない方 ── 本書は完全に続編です。前作の知識が前提になっているので、必ず『嫌われる勇気』から読んでください。
  • 「すぐ使えるテクニック」がほしい方 ── 本書は「考え方のOS」を入れ替える本であり、即效性のあるハウツー本ではありません。
  • 「優しく背中を押してほしい」方 ── アドラーの主張はかなり厳しいです。「愛は決断だ」「運命の人などいない」――スパルタ式の対話が苦手な方にはきつく感じるかもしれません。

こんな人には全力でおすすめします

逆に、以下に当てはまる方にはぜひ手に取ってほしい一冊です。

  • 『嫌われる勇気』を読んで「もっと深く学びたい」と感じた
  • 課題の分離は理解したけど、その先の「つながり方」がわからない
  • 「ほめても叱ってもいけないならどうすれば?」と正直に思っている
  • 人間関係や恋愛で「愛すること」に臨病になっている
  • 「幸せとは何か」を哲学的に考えたい

とくに、『嫌われる勇気』を読んで感動した方、でも「実践してみたらうまくいかなかった」という方にこそ、本書はピンポイントの答えをくれるはずです。

『嫌われる勇気』と一緒に読みたいおすすめ本

アドラー心理学の「考え方が人生をつくる」というテーマに共鳴した方には、以下の書籍もおすすめです。

「嫌われない」だけでは幸せになれない

『幸せになる勇気』は、『嫌われる勇気』で「自由」を手に入れたわたしたちに、「その自由をどこに向けるのか」を教えてくれる本です。

その答えは、「愛すること」。

運命の人を待つのではなく、自ら愛することを決断する。「わたし」の幸せではなく、「わたしたち」の幸せを選ぶ。そのために必要なのが、「幸せになる勇気」なのです。

大切なのは、なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである(アドラー)

『嫌われる勇気』で始まった物語の完結編として、ぜひセットで読んでほしい一冊です。

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単行本・Kindle版・Audible版から選べます。

「読んだらどう変わるか」を軸にレビューしてきましたが、最終的には自分自身で読んで体感するのが一番です。

『嫌われる勇気』を読んで「もの足りなさ」を感じた方。その答えが、この一冊にあります。

また、『嫌われる勇気』をまだ読んでいない方は、ぜひ前作から読んでみてください。セットで読むことで、アドラー心理学の全体像が見えてきます。

『嫌われる勇気』のレビュー記事はこちら/『嫌われる勇気』をAmazonで見る

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こころを癒す魔術師
心にたまった傷と向き合って手放すとか、疲れを吐き出したりだとか。 そういった、一人だとちょっぴり大変だけど必要なことを「お手伝い」したりする、やさしい魔術師をやっています。 ここではスピリチュアル的観点を交えつつ、自分の心との向き合い方、癒し方、思考法などなどに役立ちそうな本を紹介しています。
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